溶融スラグとは廃棄物を焼却した灰を高温で溶融して生成されるガラス状の物です。
近年、廃棄物の分別・減量化が進む中、廃棄物焼却灰等を溶融することにより最終的に埋め立て処分する量を減量する事が出来る他、
土木・建設資材に利用する事で ”資源“ としての視点が注目されています。
主成分は二酸化ケイ素(岩石と同じ)であり、物質成分封じ込めの構造です。
色は黒っぽく(アスファルト色に酷似)性状は限りなく砂や小石に似ています。
弊社での試みとして、将来的に溶融スラグを土木・建設資材の資源として利用可能であるか検討する取り組みを開始し、
更に、スラグにはその製造過程により数種(鉄鉱石溶融・一般廃棄物溶融、高炉/転炉/電炉/コークス炉等の原料や炉の違い)ありますが、
六価クロムの還元材としての視点の可能性を試みてみました。
共に簡易な手法の試験ではありますが、路床路盤材としてのCBR試験と旧セメント(クロム無対応)の貧配合固形物を入手し砕砂にした後
(六価クロムの溶出試験は未実施の破砕物)所謂、還元材として六価クロム溶出の低減効果についても簡易試験を実施しました。
使用した溶融スラグは大阪府某工場で製造されたものを使用。
混入物無しのスラグ本体のCBR値は26.2%であり、
弊社が品質基準として参照する舗装要項便覧基準に照らせば、路床材として要求されている数値は超えています(但し、粒度の調整は行わず)。
また、上記セメント固形物の破砕物に約同体積のスラグを混合し、
水浸28日材令の混合物に対し六価クロム溶出試験を実施した結果、環境基準値(0.05mg/リットル)を下回りました。
現在までの取り組みの結論として、東日本では既に土木・建設資材の資源として再利用されている溶融スラグですが、
現代の ”ゼロエミッション社会“ を形成する政策も鑑み、溶融スラグは新たな土木・建設資材の資源として再利用するという観点は、
弊社の位置する西日本にも早急に浸透すべき視点ではないかと思われます。
再生コンクリート材はこうあるべきであるという固定観念を一新すべき意味の上に乗っ取り、
溶融スラグの ”見た目” "生産原料" へ仮に偏見があるとすれば、それを払拭すべき時代が既に到来しているように実感しています。
弊社では、再生材への混入と単体での販売も視野に入れ、
今後はスラグの混入比率等を考査し各種試験を繰り返しながら、
現在要求されている業界の品質管理基準に達する日常管理が可能であるかの取り組みを始めました。
又、近年危惧されている六価クロム溶出への低減効果の可能性があると言われる還元材としても、改めて厳密な試験を実施し、
その再利用意義を考慮し、企業理念である環境保全と循環型社会形成に資すべき再生製品の提供を目指していきます。
再生材との混合